子供の連れ去り問題解決に向け、ハーグ条約ついに加盟決定か?
Q.政府は、国際離婚のときの子供の連れ去り問題解決に向け、ハーグ条約に加盟しようとしているようですが、現在はどんな状況ですか?
A.2012年1月24日時点での情報ですが、政府はハーグ条約批准に向け、大きく動きだしています。
国際結婚後、国際離婚の際の夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」について、法制審議会は部会で、加盟に向けた関連法案の要綱案をまとめたようです。
同日の産経新聞の記事によれば、内容は以下の通りです。
1.法案では、日本人の親が連れ帰った子供について、外国人の親が返還を求める場合の手続きなどを規定。
2.日本人の親が子供の返還命令に応じなければ、家庭裁判所が外国にいるもう一方の親に子供を引き渡せる強制執行権を明記。
3.法制審は2月にも小川敏夫法相に答申。政府は24日召集の通常国会に法案を提出する方針で、会期内の成立を目指す。
4.要綱案では、外国にいる親が子供の返還を日本の家裁に申し立てた場合、家裁は子供の意見に配慮した上で、元の国に戻すかどうかを決めるとしている。返還決定後は、連れ帰った親が一定期日までに子供を返さなければ、民事執行法に基づき金銭支払いを求めるなどして返還を促す。それでも応じなければ、家裁の執行官が強制的に一方の親に引き渡すとした。
5.日本人の親が子供の返還を拒否できる条件や、国内で子供を捜す政府機関「中央当局」の設置も盛り込んだ。返還を拒否できるケースとしては、(1)外国にいる親の申し立てが1年を経過して、子供が新しい環境に適応している(2)子供が拒んでいる(3)返還すると、子供や配偶者が暴力を振るわれる恐れがある-ことなどを列挙した。
6.手続きとしては、審理は東京、大阪の両家裁が行い、原則非公開。三審制で、決定に不服があれば抗告できる。中央当局は、外務省内に置く予定。
今後は、ハーグ条約に基づく子供の返還請求が増加していきますので、専門家として、法令の動向を注視していきたいと思います。