離婚届を偽造して勝手に提出されました。
Q,離婚協議中に離婚届を夫が勝手に偽造して提出しました。私はまだ離婚する意思が固まっていないですし、突然のことでびっくりしています。どうすればいいでしょうか?
A,離婚届を提出する時には、離婚意思が必要です。
ですから、今回のように夫婦の一方または双方に離婚の意思がない場合には、たとえ離婚届が提出されていても、離婚は無効です。
しかし、離婚届の不受理申出の制度を知らず、又は不受理申出をしたが間に合わずに離婚届を勝手に届け出されたとしても、協議離婚届が役所で受理されると、離婚の効力が発生してしまいます。
勝手に離婚届けを出されたのに納得いかないのは当然ですが、例え偽造した離婚届を勝手に届け出されたとしても、役所ははいそうですかといって勝手に離婚を取り消せないのです。
そこで、このような場合は、家庭裁判所に離婚無効の調停を申立てます。
この場合、申立人が離婚の意思が無かったことを証明しなければなりません。調停において相手が勝手に離婚届を出したこと等を認めて、双方が合意をすれば、離婚が無効であるとの審判が下されます。
しかし、相手が不服だとして審判に対して異議の申立てがあると、審判は無効となり、調停は不成立となります。
そうなると裁判所に離婚無効の確認を求める訴訟を起こす必要があります。訴訟になれば、多くのケースで弁護士を立てる必要が出てくる等、費用、時間の面で多大な労力を必要とします。
そして、以上のような経緯を経て、審判や判決で離婚無効の判決が確定すれば、1ヶ月以内に審判または判決の謄本を付して、戸籍の記載の訂正を戸籍係に申請することができます。
以上の手続を経てやっと戸籍から離婚の記載は抹消されます。
協議離婚を原則とする日本の離婚手続においては、離婚届は、簡単に受理される一方で、一旦戸籍に記載された事項の訂正には大変な労力を伴うという特徴があります。
したがって、このような事態をさけるためにも、パートナーが離婚届を出すおそれがある場合は、急いで離婚届の不受理申出を行うようにしましょう。
なお、離婚届けを偽造して提出するのは犯罪の構成要件に該当しますので、絶対に行わないようにしてください。