カナダ人との離婚手続・方法
<カナダ人との離婚手続・方法>
1.カナダ人との離婚の特徴
カナダ人との離婚手続については、ある特徴があります。
まず、圧倒的に多いのが、夫がカナダ人、妻が日本人のケースです。
逆に、夫が日本人、妻がカナダ人であるケースはかなり少ないです。
この辺はアメリカ人との結婚事情に共通するものがあります。
まず、日本人がカナダ人とカナダで離婚する場合、日本人の方は日本人同士の離婚と同じように、協議離婚し、離婚届をどこかの役所に出せばいいと思っている方が多いですが、そうではありません。
2.カナダの離婚手続・方法
①原則として裁判所の関与が必要
カナダについては、離婚には基本的に裁判所の関与が必要です。そして、離婚に関する法律は州によって異なりますので、以下代表的なBC州の法律を例にとって解説します。
日本でも相手の合意なしで、離婚原因があれば調停・審判・裁判離婚ができるように、カナダでも似たような制度があります。
カナダで離婚する場合については、カナダでは相手の合意がなくても、子どもに関する事柄が決まっていれば離婚できる場合があります。
ただ、日本と違うのはカナダでは離婚にいたる原因は問われず、慰謝料もありません。
あるのは養育費とスパウザルサポート(配偶者に対する扶養的財産分与)のみです。
②カナダにおける離婚の条件
離婚については、夫婦のいずれか一方が、BC州で1年以上居住している場合は、
1年以上の別居、不貞行為、精神的または肉体的虐待のいずれかがあれば、一
応離婚可能です。
ただし、虐待などは証明が難しいため、1年以上の別居をすることで離婚するケー
スが多いのが実情です。
③日本の協議離婚に近い裁判所の手続がある
カナダがアメリカと大きく違うのは、日本の協議離婚に近い制度があることです。
日本の協議離婚に該当する離婚をカナダでする場合はSeparationAgreementと呼ばれる日本で居る離婚協議書のような合意書を作成します。
この合意書には、親権、子どもの養育、面会交渉、養育費・スパウザルサポー
ト、財産分与など別居・離婚に関する取り決めが含まれます。
そして、離婚の当事者はこれを裁判所に登録すれば強制執行力があるものとなります。
日本でも「公正証書」の制度があり、日本国内では公正証書を使って養育費の取
立てをすることができますが、これに似た制度として、養育費とスパウザルサポート
に関しては、FMEP(Family Maintenance Enforcement Program)に申し込
めば、自動的、強制的に取り立てが行われます。
そしてその際、裁判所の命令又は裁判所に登録した合意書が必要となります。
そしてこの合意書は、離婚しようと決めたときに限らず、同居を始めたときや、結
婚前のものでも有効なところは日本と大きく違う点です。
④カナダの面会交流権について
日本に比べ、親の面会権がしっかりと認められているカナダでは、子どもに会わせ
ないのは簡単には認められません。
日本人によくあるのが、母親が親権者になり、父親が面会交流を求めた場合で、
母親が養育費を払わないなら会わせないという人もいますが、カナダではこれは重
大な問題に該当し、最高で5000ドルの罰金が課せられることもありますので注意
が必要です。
また、カナダの親権は日本の単独親権とは異なり、共同親権です。したがって、父
母は平等に親権を行使できます。
ですから、例えば、面会の取り決めについては週末は父親、母親交互に、そして春
休み、夏休み、冬休みなどは半々などが一般的です。
⑤カナダ人との離婚における養育費
カナダでは養育費は支払う側の収入と子どもの数に基づき決められ、この辺は日本の事情と変わりません。
ただ、日本では養育費は夫婦で特別の定めをした場合を除き、原則として20歳まで支払われるが、カナダでは原則として養育費が支払われるのは19歳までです。
ただし、19歳以上でもフルタイムの学生なら養育費は支払われます。入院治療費など、基本の養育費以外に特別な支出があった場合は、その支出を誰が支払うのか、互いに分配するのかなどが決まるまでは、領収書を取っておく必要があります。
当事務所では、カナダ人との離婚手続・方法についてお困りの方の相談窓口を設けています。
カナダ人との離婚手続き、方法でお困りの方は、下記よりメールでご相談ください。
→メール相談はこちら